覚悟はできなかったけれど、来るのは分かってた……よ? 【Picture】
頭部形状は日本の烏帽子型兜の頭頂部を、我が家の魔術師の娘っ子たちが被る三角帽子の「よれた」先っぽを連想させる形状に改められ、その上で日本人が抱く西洋的なイメージの外見にまとめられていた。
大きな草摺り(スカート)が腰から垂らされ、足首から先は――先日の ぬかるむクレーターでの無様を考慮してか、幾分設置面積が大きくなるよう、腐心の跡が伺える。
(……来たよ)
「お、おにーちゃん……ひょっとして、また気に入らない?!」
俺の顔を見ながら青い顔で、オロオロとしだす彼女。
「そうじゃなくてさ……いつもいつも、びっくりさせられ過ぎて、反応が追い付かないんだよ。おにーちゃんは」
デシレアの頭に手を置いて細い髪を掻き乱すと、彼女は――満面の笑顔で声を上げた。
* * *
デシレアが急かす様に背中を両手で押す。有栖川さんによって、飛行機に乗り込む際のタラップ・カーの様なものが取り付けられ
急かされるまま上へと昇ると、騎士人形の胸部前面の4重のハッチが開いた。
中を覗き込んで「コックピットにしては想像したよりは……多少広いな」
感想を口にするや義妹の可愛らしいお口から、間違いを意味するらしいブザー音。
「コックピットじゃないんだよ? おにーちゃん。響きが汚いから嫌っ」ついで吐き出されるクレームの様なもの(まぁね? 語源は知らんけど音の響きやら、そこから来る印象はね?)
「スローン……有栖川の案だけど、操縦席は玉座を意味するこの言葉を使お?」
(…………すっげぇ、分不相応)
デシレアと中へ足を踏み入れ「玉座」とやらに腰かけると俺の膝をよじ登って、その上にちょこんと彼女が座った。




