俺の義妹は凶暴です 【Picture】
言うのも聞かずに一生懸命、公園の遊具によじ登る様に、俺をよじ登り始める義妹。――そして、当然の権利と言わんばかりの様子で首にしがみつく。
「……おにーちゃん、ぱんけーきが切れた、わたしは凶暴なんだよ? おにーちゃんでも、食べちゃうんだよ?」
危ないからと止めるのも聞かずに、デシレアは――俺の頬や、耳に甘えるように啄み始めた。
* * *
メープル・シロップに泳ぐ、パンケーキを食べ終えた義妹は、外へと俺を連れ出した。
(まあね。おやつ係を仰せつかった時点で……この先の展開も予想がついては……いたけれども――)
屋敷の外。少し離れたその片隅に、デカデカと創られた大理石の……お堂?
いや、この表現は的確では無い。
なんせ「和」の匂いは、微塵も感じられない。この場合、廟と言う方が適当なのだろうか? 正面には、10メートル以上ありそうな大理石の大扉。
大扉の前へと至る階段にデシレアが立つと――扉は、静かに左右に開きだした。
「じゃーん♪ 最も古き六の大龍の一頭にして、遍く全ての大地を司る緑龍のわたしが、がんばったぁ―っ♬ 褒めて♫ おにーちゃん♡」
なんだか久しぶりに耳にした気もする「最も古き六の大龍の一頭にして、遍く全ての~」と言うキャッチ・コピーに、ちょっと感動の様な……なつかしさの様なものを覚えていると
デシレアが後ろ手に手を組む その奥には――優美な純白の外装を身に纏って、先日のガチムチな工事現場の労働者を思わせるデザインから、スマートで手足の長い優男にデザインもリファインされた騎士人形が、安置されていた。




