酔いどれ、おっぱいのお話ですし……ねぇ?
――それは『咎の神像』ないし『屠竜の騎士』あるいは単に『騎士人形』と呼ばれる代物であるらしかった。
数十年に及ぶ、読書漬けの生活を経て――古代に至るまでの歴史、文物についての書物には、それなりに手を出し尽くした感のある俺ではあるけれど……その存在については、こちらの世界の上位古代語、古王朝諸語と呼ばれる死語待った無しの書物にも、チラリとも目にすることはできなかった。……恐らく、多分。
ネルたちによれば、それは更に遥か昔の文明の産物なのだとか。
そして この存在は、その名前のひとつに言い倣わされる通りに人間が「竜」、ネルたち大龍と呼ばれる存在とは比べるべくも無い、ささやかな存在と戦うために生み出して――その内、大龍と言う存在を知る少数の人々によって、彼女たちを捕らえるための術として研究開発が重ねられる様になって行ったのだとか。
「それで……どうなったんだよ?」
自分たちに敵意を向ける存在には、割りと容赦が無い彼女たちのこと。もしや、その知られざる太古の文明を消滅させるまでのことを……どちらかが、やらかしたのかと心配になり――恐る恐る。
「……別にぃ」不機嫌を隠そうともせずにネルが口を開く。
「ただ……たまたま、その時、虫歯で呻き続けてたアタシの姉の1人。……ボディルが、あまりの騒々しさに我慢できなくなったらしくて……うっかり大陸ごと、海に沈めちゃったってだけ」
(……お前たちの虫歯ひとつで、人類文明は滅ぶのか)
とは言え、ネルの口にすること。
呑んだくれの戯言かも知れないとも思い、デシレアと、トーヴェにも目を向けてみる。すると彼女たちも一様に、小さな手を握り締めて、うんうんと首を縦に振っていた。
(どうやら……マジなのか……)
「どうして、アタシの言うことだと信用しないのよ アンタ……」
「だって……ねぇ?」




