バカ騒ぎ後の、気怠いひとときに
「LA・LA・PALOOZA? 現実離れしたパーティーや……極めつけのモノ。とびっきりの(人)。異常なモノを意味する言葉ですよね? でも、なんで英語なんです? 『こちら』の人間には分からないでしょうに……」
初キャバクラと言うことで、めかし込むべく、今までに数度しか袖を通したことの無いジャケットをハンガーにかけながら――ポケットから見つけた、夢魔たちの店のVIPカードを目にして、アルパゴンが疑問符を浮かべる。
ネルと出会って以来、数度しか無い朝帰り。飲み過ぎて痛んだ頭は、もう静まっていたが――その痛みをソファーに横たわって思い出していた。
「……他にも、近い音と綴りで……スペイン語の『LALLAPALLOOZA』で、地響きがするほど激しい殴り合いのボクシングの試合とか、ライブハウスを揺るがす足踏みだったり、そのまんま地響きって意味もあるんじゃ無かったか?」
陶片を取り出し、トキノに確認を取ろうと画面を見ると、時間も時間。トキノは、『最適化中』の札を出して、パジャマにナイト・キャップ姿でベッドに入り、スヤスヤと寝息を立てている(流石に起こす気には、なれんなぁ……これ)
「『こちら』の人間には分からないとか……よくよく考えてみれば、どうでも良い事なんだよ。どうせ店に来る奴らは、そんなこと気にもしないんだからさ……」
「そんなものでしょうかね?」天井を見上げる悪魔「そんなものなんです……俺も今日、知った」邪険にも取れる雑な返しに、悪魔はこちらを向いて笑みを浮かべる。
「もう、大丈夫の御様子ですね」
「……何が?」
大丈夫も、なにも……酔いなんて、とっくに醒めていた。
「いやいや、そう言うことでは御座いませんよ」
(…………なんのこっちゃ?)




