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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
二十二章:この砂漠に林檎の木を植えよう

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いざ! キャバクラ!!

 夢魔である彼女たちが、やって来てからというもの、この領内の様相は一変した。さしずめ例を上げるとするならば――これだ。


 今、俺の目の前には、煌々とネオンの輝きを見せるピンクな御店が。


「コルメラ……アレサナ……ご説明を戴こうか……」 


 彼女たちには、ここにやって来た夢魔たちのまとめ役と、繋ぎ役をお願いすることにした訳だが――。


 中世西欧レベルの文明世界で、悪目立ちしない訳が無い、このネオンの看板。


 先日、夢魔たちが、糊口(ここう)をしのぐために酒場を開こうと考えているらしいと聞き、そして、その店舗名を是非つけては貰えないだろうかとコルメラに頼まれ――少し、嬉しくもあって、幾夜も夜通しで、その店の名前を考えてみれば……まさかそれが、ド派手なネオン看板となって、店の入り口に掲げられるとは夢にも思わなかった。


 こいつら、自分たちが人間社会の片隅で、ひっそり生きなくてはならない存在だと言う自覚は、無いのかと。忘れちゃ……いやしないかと。


「ええっと……それが……」


 なにやら、しどろもどろとした様子のコルメラ。


「このピンクな色合いが、私たちの魂の琴線を震えさせるからです」


 臆面も無く、ハキハキと言い切るアレサナ。


(だから『あちら』から業者さんに来て頂いたと? 自慢の手練手管を使って?)


「魔」と呼ばれる存在にやたら鼻が利く、聖職者が居なければ……と言う前提が付く、彼女たちの――人間の感情や、記憶、精神と言った物を操作する能力あっての力技。


「も、勿論! 問題にはならない様に注意は払いましたし「お願い」もしっかりとさせて戴きました! 代価の方も(きん)……現物で、ではありますが、充分なお支払いをしました。だ、ダメだったでしょうか……」


「ダメも何も……」


 肩を縮こまらせるコルメラに言葉を続けようとしたが、これは既に終わったこと。


「次に、こう言うことをする時には、報せて?。アテはあるからさ」


 彼女たちに、そう注意を促したところで――店の入り口の扉が開き、マーヴが飛び出して来た。前髪に両目が埋もれた、相変わらず表情を読み取りづらい彼女が嬉し気な声を上げ、俺の腕を取ると洗濯板を押し付けて、店の中へと招き入れる。


(いざ、行かん! 初キャバクラ!)


 ネオンの看板が、何かを焦がす時に発する音を奏で続けていた。

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