銃と夢魔
(で、こちらはM1014? ……え~っと、ベネリのM4 スーペル90を元に開発された……アメリカの海兵隊に納入が決まったとか言う奴か? 12ゲージの散弾が7+1発……。ローディング・ゲートにエクステンション・アクセが取り付けられてるってことは、散弾用のスピード・ローダーじゃなくて……プランジャー押し込めってことか?)
その他にもRPG7などの対装甲ロケット発射器や、アサルトライフルHK416、6連発のグレネードランチャー、ダネルMGLに何種類かの手榴弾などが、次から次に並べたてられる。
部屋に広がる安物のガン・オイル、島で嗅ぎなれたディーゼルと魚油とが入り混じったみたいな匂い。
これをオマケに付けて貰った? また、どれだけの買い物をコイツはしたと言うのか。もはやこちらの方が、主じゃないのかと。
(ていうか……西側の銃器がもりもり入り混じってるって、どういうことだってばよ?)
* * *
「……でも、良かったですねぇ。あの夢魔の娘たちが来てくれて。彼女たちの、人の心を覗いて、望む夢を見せる能力があれば……思想強制も、印象操作も、プロパガンダだって、人知れずやれちゃいますよ? アチラの御主人様の世界に連れて行っても、きっと面白いことになります。こちらであっても、教会の邪魔さえ、どうにかしてしまえば……御主人様は、ゲシュタポ兼優秀な宣伝相を同時に手に入れたようなものです。クククっ……」
(なるほど……)
教会が彼女たちを追い立てる理由には、その辺もあるのだろう。
彼女たちが、その存在を維持するために必要とする、精気の収奪などより――寝ている間に見た夢によって、気づかない内に精神の奥底で、印象や、価値観や、思想などが、操作されることの方が重大問題な訳だ。
彼女たちサキュバスたちが、それを組織立って行い始めたら、きっと人間社会が破綻をきたすのは、想像に難くない。




