鮒は轍が、お気に入り
結局のところ俺は、またもや、いつもの轍を踏む。
「屋敷の中でのトラブルは絶対に禁止な? まあ即座にアルパゴンが現れて止めるだろうけれど。あと、その……俺に迫るのも勘弁してくれ。そういう種族なんだってのは、聞き齧って、知ってはいるけれど……申し訳無いけど正直困る。定期的に魔素とやらは、提供させて貰うからさ。……ん? いや……ああ、『アテ』も有るわ。有る有る。後で説明しようか。取り敢えず、そう言うことで良いなら、身の振り方が、決まるまで自由にしてくれていいよ」
「では、私共が成せることがありましたら、なんなりとお申し付けくださいませ」
こうして彼女たちも、この屋敷の住人となることが、その日決まった。コルメラと入れ替わりで、アルパゴンが顔を見せる。いつもの様に顔に薄ら笑いを張りつけて――
「結局、屋敷に置かれるんですね? あの3人。も~♪ 御主人様も素直じゃないんだからぁ♬」
茶化す悪魔に引き出しから、取り出した小瓶を投げつける。慌てる様子も見せずに、それを手の平で受け取め「宜しいのですか?」悪魔は手にした小瓶を弄んでいた。
「……いいよ。昨日、お前の私物を あの3人にやったんだろ? 最近、お前には領内の造成だなんだで、走り回って貰ったし」
「そう言う恩情と言うのが……私たち悪魔には、ズレてる様に思えるんですけどねぇ。……でも、まぁ。有難く頂戴しておきます」
腹の中では舌を出しているのが、透けて見える恭しい礼。
「それで?」この部屋にやって来た用向きを訊ねてみれば「しばし、お待ちを」そう断って、再び部屋の外へと小走りに飛び出すと、悪魔はカートに小山のように満載した荷物を押して戻って来た。
「なんだよ? それ」




