うちの奴らより魔族の方が……
「悪いけど……ここでハーレム、ハーレム言ってるのは、アホの子と、あと数名のアホだけなんだわ。で、俺はと言うとアホの子ではあるけど……ネルが居れば、それで良いクチなものでさ?」
彼女たちからすれば、必要な精気も得られ、教会に追われる心配も無い。
いや、既にここが、教会どころか世界の全ての人々に、睨まれていると言うことは……この際、置いておくとして。
理想の仮の住まいを見つけた様なものなのだろうけれど――俺は、彼女の申し出を、丁重に丁重に、お断り申し上げることにした。
俺にしては珍しく、うやむやにするのこと無い、判断。
これまで、この手のことを毎度毎度、なぁなぁと先送りを決め込んで、トラブルに見舞われるパターンには流石にもう、うんざりしていた。……御免被りたい。
しかし、彼女はそれでも引き下がらなかった。よほど、切羽詰まっていることは察するが……。
「心配しなくてもさ? 君ら3人が、生まれ故郷に帰るのに必要な方法は、この屋敷の地下にある『門』で解決だろうし、当面必要な……魔素だっけ? それについても、いくらか都合できるからさ? それをお持ち戴いて、結構だから」
「下級とは言え、魔族の端くれです。契約の上で無ければ、その様な施しをお受けすることはできません」
(アルパゴンと言い……どうして、こいつらって……)
紋切り調子の取り決めに、堅苦しいまでに拘るのか……。
昨晩ギアネリが見せた、俺の権限の様なものすらも小器用に扱って、問題を片付けるのとは、真逆――。
(……なんだか、また面倒臭くなってきた)




