先生！ お願いします！
必死に考え続けたものの、そんな都合の良い考えは、浮かばないまま帰宅。いつものようにネルは、家の外で遅くなってしまった、俺の帰りを お出迎え。
「随分、遅かったじゃない？ なんかオスだけでとか、ヤァラシィ～♪」
悪意満点の、有り得ないネルの邪推は聞き流して、俺はネルにすがりついていた。
「ネ、ネルえもぉぉ～～～ん！」
「なんだい？ どーしたんだい？ ひととせくん？」
「……なんとかしてくれ」
「ま、丸投げなの？ 指輪のお陰で、大体の事情は分かってるけど、マジで？」
(こいつにも慌てることはあるんだな……)
「お前、今日の今日まで『最も古き六の大龍の一頭にして、遍く全ての生命を司る白龍』って言ってきてたろ？ がぉ～って感じで、ガーって一気に！ ワーグ共を……なんとかできないのか？ できるんだろ？」
「……できなくも、ないけど」
「よし、一丁やってくれ頼む。お礼に今夜は、俺が全力で御奉仕させて頂くぞ！」
「……う～ん」
「なんだ？ 不服か？ 不服なのか？ だったら今度、星の位置が揃った時には、門の向こう行って全身タイツ！ 全身タイツ買って来て、そいつを着て踊ってやるぞ？ なんだったら、コンパで身に着けた鉄板ネタ。いつぞやワールド・ワイドで話題になった、号泣議員の会見映像の真似ごとまで、やって見せちゃうぞ？」
「何それ？！ 超見たいんですけど！？」
目を輝かせての、抜群の食いつきを見せる彼女――けれども、すぐにその表情は元に戻り、眉間に皺を寄せて
「何もったいぶってんだよ？ ……ひょっとしてアレか？ 俺が、お前の龍の姿を見てビビッて居なくなるとか考えてんのか？」
「……それも……正直。……少し……考えなくもない……わね。……ホント、少しだけ……」
悩みの一端を正直に覗かせる彼女。昔話なんかでも、良くある展開を思い悩んでいる訳だ。
「ふざけるなぁ！」
ビクぅ！？
