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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
二十二章:この砂漠に林檎の木を植えよう

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人間って不便

 スコラスチカは、細く長い白い指先で、バットのレバーを触り、好みの適温になったことを確かめると――それをつまみ上げて、口に垂らし入れ、美味そうに咀嚼し始めた。


 一切れを平らげたスコラスチカが、何故か俺のカップヌードルに眼を向ける。


「人間って……不便よね」




 * * *




 スコラスチカとのおやつの後、俺は地下の扉の奥。『門』の脇に置かれたコレクション・ケースに並ぶ、ヴィネット(小さなジオラマ)に触れて領内の街へ。


 もう、1~2時間もすれば夕食の時間と言った所だが……きっと今の俺の辛気臭い顔を見ながらでは皆も、食は進まないに違いない。


 まるでそんな事、気にしそうにも……無い奴らの顔も、数人思い浮かびはするけれど……。


 辿り着いた街は、領内11ヶ所に造成された街の内、内陸方面の街。デシレアが持ち込んだ、外見のみの蒸気機関車だけが生命線と言える――領内において、輪をかけて辺鄙な街。名前はなんと付けたろうか……。


「大丈夫……きっと、御屋形様……なんとかしてくれる……」


 大通りの中ほどまで歩くと、並び建つ建物に挟まれた小道から、聞き覚えのある声。


(シルシラ?)


 ヴィネットに触れて、彼女もココにやって来たのか、誰かと話している様子。


 人見知りが激しく、魔術師の娘たちの中では、それなりに年長者で、最高の語学の才を持つにもかかわらず。共に育った姉妹以外には、滅多に口を利かない彼女が一体、誰と話をしているのか。


「でも……その人、あの白竜ネルのつがいとかって言うし……ダメなんじゃない?」

「――、……、――、」


「あたしたち、竜には目の敵にされる存在なのよ?」

「…………」


 トーヴェの知覚で捉えた、シルシラの俯き加減。


 今の俺に……他人のことに気を回す神経があったことは驚くべきところ。気が付けば、シルシラの話し込む、お相手の方へと足を向けていた。

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