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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
二十二章:この砂漠に林檎の木を植えよう

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人生、スリー・アウト

 俺は完全に居場所を無くしてしまっていた。


 生まれ育った現世の日本では、大学でツチノコの如き珍獣扱い。耐え難い程の人目を集め――こちらの世界シルウェストリスでは、神と その敬虔な信徒、総ての敵。


 「竜」と言う おぞましい蛇か、蜥蜴(とかげ)の様に考えられている存在と日々、淫靡(いんび)に交わる、数百年を生き続けた邪悪な辺境伯――もしくは、大魔法使いとして知られる様に。


 ネルは「いいじゃない♪ 別に。このお屋敷に籠もって暮らしたら? お金も一杯だし、生活するには困らないでしょ?」そう言ってくれるが、別に俺は社会的な自殺を図りたいと――人との関りを断って、無為な生活を送りたいと言う訳では、決して無い。


 ネルを取るか……まともな人生を取るかなんて、選択重たすぎる。


 かつてメルトゥイユが、届けに来た法皇の上納金には、その意味が含まれていたのだと、今更ながらに知った。


 つまりは、アレは「これを差し出すから、人の世には出てこないでくれ!」と言う、そう言う金だった訳だ。


 俺が生まれる以前の歌謡曲に、東京を砂漠に見立てた歌があったとか……。


 今の俺の――この自身の状況は、人との関りを持つことが許されない、この状況は……一人、砂漠に放り出されたのと変わらないのではないだろうか。


「なぁに『考えて』()られますやら♪」悪魔が笑う。「一人、砂漠に放り出されたとか♬ 潤いを得るための『水袋』は、たんまり抱えてるじゃないですか。何を心配する必要があるんです? それとも何が御不満ですか? 言って戴ければこのアルパゴン。たまには腕を振るって、御覧にいれますとも。有栖川氏にだって、きっと負けはしませんよぉ~? ……いや、少し自信無いですね」


 この屋敷の皆を水袋に例える、この悪魔の趣味の悪さも、今の俺には全く届かない。

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