みんながっかり、お通夜モード
「……あんなものは、戦でも……闘諍でも無い」誰かが口にした、その言葉に――皆が溜息を洩らす。
「いや、だから俺、最初に言ったろ? 出番無いからって、言っておいたよな?」
まるで大好きな――大切な、おもちゃを取り上げられた小さな男の子が見せるかのような、ガッカリした表情を浮かべて、皆は一様に、やりきれなさを滲ませる。
「おまえたち、御館様からの戦勝の振る舞い酒だ」
ネルの酒蔵の酒を、クィンヒルデが指し示すと――村の戦士たちは「呑まねば……やっておれぬ」とでも言いたげな様子で、のそのそと立ち上がり、酒瓶を行き渡らせ始めた。
(こうなるのが分かってたから、来るなって……言っておいたんだけどなぁ……)
痛ましい空気で酒の山に群がる、皆の後ろ姿を眺めていると、ハリバドラがやって来て――皆と同じ様な消沈した様子で「……それで、ツモイよ。奴らはどうなったのだ」王国の兵士たちの末路についてを訊ねて来た。
「それなりに憐れなものだぞ? 聞きたい?」
「……聞かせろ」
ハリバドラは、酒の山の中から適当に掴んで持って来たのだろう、ジュースの様な口当たりの白ワイン2本の瓶の首を――まるでガラスのアンプルの首を捥ぐように、事も無げに折ると、1本を手渡して、事の顛末を聞こうと腰を降ろす。
(……破片とか、大丈夫だろうな)
愚にもつかないことなのか、そうでは無いことなのかは、分からなかったが、瓶の底を焚火の光にかざして見ながら、神経質に目を細める俺。
「結論から言うとだな? 王国側の皆さんには、デシレアの執事さんに代書を頼んで、したためて貰った書状を持って、そのままお帰り頂いたんだわ」
俺の言葉に予想はついていたのか、この巨漢のオークは静かに耳を傾けていた。
「ただ……可哀想なことにだな、来た時のままと言う訳には、行かなかった様だけど」




