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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
二十一章:神をも恐れぬ

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白銀のトリル 【Picture】

 俺たちと、王国側を挟む中央に現れた『門』


 姿を現した銀の髪の少女が、踊るようにクルクルステップを踏んで回転して、身体を揺らしヴァイオリンを奏で始めるや――


 戦場で動く者は居なくなった。


 普通のヴァイオリンであればこれだけ雑多な戦場の音を前に、その旋律を維持できるハズも無いに違いない。


 ――大気や、天候、気候までを司る彼女。


 その演奏を妨ぐことができる者は居なかった。


 楽器の音色は戦場の音にも掻き消されること無く、総ての者の耳に直接届きそして――『魔器』は、彼女の望む通りの効果を発揮した。


 こちらに向けて殺到して来る黒い波は、その場で動きを停止。


 極々短い演奏を終え、彼女が手にした弓を軍勢に向ける。


「せ、せ、せ、整列、し、し、しる」


 吃音(きつおん)で指示を飛ばすや兵たちは、完全にトーヴェの制御下に置かれた理解不能な自身の身体に――神に祈り、恐怖にかられた悲鳴を上げ、呻き声を振りまいていた。


「ささ♪ ご主人様♬」


 文字通り涌いて出た悪魔が『アチラ』のイベント用品レンタルの業者から借りて来た、肩下げ式拡声器のマイクを差し出す。


 スイッチを入れると、辺りに轟くハウリング。


「もう、ちぃっと……あっち行けよ! アルパゴン!!」


 スピーカーを通じて展開される、すったもんだの――グダグダなやり取り。


「じゃあスピーカーも、お持ち下さいね? ご主人様」


 巻きあがる王国側の軍勢からの罵詈雑言の嵐。


「し、し、し……し……静か……に、しる。に、にに、にい……たまから、お話……あ、ある」

挿絵(By みてみん)




 * * *




 トーヴェのヴァイオリンが再び鳴り響くと、水を打ったような静けさが辺りに拡がった。


 そしてその静寂を破る、借りて来た拡声器の割れた音。

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