アルパゴン・コレクション
「そうですよ?」
詰所で見せた感情の昂りの様なものはどこへやら、悪魔がいつもの調子で口を開く。
「私の蒐集品の中でも、とびっきりの……私が愛して止まない一品です。これさえあったなら、皆さんが以前に、大変な思いをなされたと言う、ワ―グすらも物の数には、ならなかった事でしょう。これを皆さんに御提供致します」
こいつらの体格からすると、現代のアサルト・ライフルのトレンドから、逸脱するサイズと重量で敬遠されるAKにもかかわらず――それはサブマシンガン程度の嵩張りにしか見えなかった。それを手にどよめき、口々に「威力は?」「射程は?」「握りが小さい。大きい物はあるのか」「先端の短剣? 穂先が小さ過ぎる、斧槍の頭に変えることはできないのか?」と悪魔に詰め寄るオークたち、それに丁寧にひとつずつ回答する悪魔。
レクチャーを受けるなり皆は、当然の事とでも言う様に、熟練兵士の手つきと、取り回しでAKを操り始める。
(……さて)
俺は、こいつらが次に言い出すことについて考えていた。
(物を贈ったりは……あんまり『過ぎると』コイツら、途端に不機嫌になるんだよなぁ……)
戦いの末に巻き上げたなどであれば、その反応も変わるのかも知れないが、タダでやるからと言われて、先日――蛆谷のゴブリンたちに行った論功行賞めいたものを行った所で、それを喜ぶ精神構造をしていないのは……そろそろ、長くなる付き合いのお陰で、理解していた。むしろ逆に機嫌を逆撫でしてしまうことを心配しなくては、いけないかも知れない。
アルパゴンが、こいつらに渡した、お仕着せにしたってそうだ。こいつらは「仕事」で必要だからと不承不承、唯々諾々と受け取り、それらに腕を通しているに過ぎないのだ。




