戦闘狂の彼ら
彼は椅子を立ちあがると、左肩のみを覆い垂らされた丈の短いマント、ぺリースを跳ね上げて、四尺二寸は、ありそうな、普通の人間であれば、取り回しに苦労しそうな大太刀と呼べる日本刀。
こいつらにかかれば、せいぜい長脇差しといったサイズかも知れないが、それを俺に――鞘を握りしめ、突きつける様にして。
「……ツモイよ。……いつだ? いつ、この素晴らしい、もののぐを振るうことができる……」
どう答えたものか、ほとほと返事に困ることについてを訊ねてきた。
(平和で……良くない?)
* * *
しかし、ガス抜きは必要に違いない。それを怠った結果、彼らが爆発でもし始めたとしたら、俺の手になんか、もう負えない。
基本、どいつもこいつも「レッサー・ツォンカパ」と言っても良いほどの闘争のための能力の持ち主たちな訳だ(……レッサー・ツォンカパ。使って……おきながらなんだけども、この表現。バレたりしたら、俺……即、侮辱と捉えられて闘諍挑まれるんだろうな……絶対、口には出したりしないでおこう……うん、そうしよう)。
今現在、大変良好な関係を築き上げていても、この関係の維持には、日頃のメンテナンスを欠かす訳にはいかない。
彼らの積もり積もった、不満に対する根本治療には、程遠いことは理解しつつも、対処療法的に――場当たり的に
「……アルパゴン」声をかけたにもかかわらず、悪魔は返事を返さなかった。
俺の頭の中をネルたちと同じく、正確に読み取ることができる、こいつからすれば、当然の反応に違いない。
「お前のAK全部寄越s」そこまで口にしたところで、この悪魔は今までの付き合いの中で一度も見せたことも無い、狼狽えぶりを見せた「嫌……嫌ですよ?! い、嫌ですよ!?」




