デズデモーナのパパは、諦めない
「――どうされました? ご主人様?」
街に作られた役場の一室。そばに控える悪魔が、机に肘をつく俺の様子に、必要も無いクセに伺いを立てる。どうせ一から十まで俺の頭の中身なんて、把握し続けているくせに。
「あっ♪ あ、あ、ああ~? そんなこと考えちゃいます? いくら お仕えしている下僕とは言っても、傷ついちゃうなぁ~♬」(……ホラ、見ろ)
想像通りの反応。付き合うだけバカバカしい。
「……それで? その後、どうなってんだよ」
悪魔の戯言は捨て置いて――領内の運営状況についての報告を促す。
「えぇ~っと、ですねぇ?」邪険にしたにもかかわらず。まるで気にも留めない様子で。
「あの後から、デズデモーナ様の御実家、リリェフォッシュ家からは約束を上回る規模で、移住者の方々が続々とやって来ています。勿論、中には『困ったちゃん』も紛れてはいましたが、そちらは『門』を通じてお帰り頂いております」
どうやらデズデモーナの御父上は、権力闘争や謀略の類では、相当にやり手の御仁らしい「如何なさいます?」うすら笑いを浮かべ、悪魔が顔を覗き込む。
こいつが期待してる言葉なんて、想像がつく。人間のおバカな面を前面に押し出しさえすれば、この悪魔はご満悦な訳だ。俺がそれを口にするや、この悪魔は主命を得たりと威風堂々と、大手を振って実行に移り、事も無げに『成し遂げて』みせることだろう。
「放置。あとデズデモーナにも……その件は言うな。言ったら……分かってるな? ハウス名作劇場、全編強制視聴の刑だからな……あと、ハイジのクララが立つシーンを30回以上は、見させた上で……1万円分10円玉を持たせて、駅前とコンビニの募金箱をハシゴさせてやるからな……『ありがとうございます♪』って言われたら『なに、当然のことをしているまでですよ』と、ニコやかに返すんだぞ?」
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