タマタマ縮こまる
「……ぼ、ボディーペイント? ジーンズが青い理由みたいな話?」
不思議な風習がある土地もある物だと言うような――狐に抓まれたみたいな表情を見せる一同。
「じゃ! じゃあさ? あの尖った耳は?! 明らかに普通の形の耳をしてない女子が、何人か居たよね!? あ、アレは?!」
「アレは彼女たち部族の……」
「……ぶ、部族っ?!」
予想もしていなかった単語が、俺の口から飛び出したためか、驚いた声が上がった。
「……うん。なんかね? 彼女たちの生まれ故郷の……ブラジルのアマゾナス州に住んでる、なんとかって部族のしきたりらしくてさ? 通過儀礼で、あんな感じに耳の一部を……ね?」
「んおおぉぉぉっ!? き、聞きたくない! 聞きたくないぃ!? 痛い! 痛いっ! 痛いぃ……」
両耳を押さえて、防御するかの様な――俺の話をシャット・アウトするかの様子で、悶えに悶える一同。
「昔、バイクから降りて……ヘルメット脱いだ時に……ピアスが内装に引っ掛かって……耳が……千切れるかと思って……あまりの痛さに……うずくまった時の事を……思い出しちゃった……」
俺を取り囲む面子の一人、バイク通学をしているらしい、女子のひとりから、誰も幸せになれないカミングアウト。
「やめろって、言ってんだろが!?」
それを聞かされた男子のキレ気味のお言葉(代弁してくれて、ホント……ありがとう)
女子の口から聞かされた、あまりに痛い(……比喩では無く直喩で)、昔話を聞かされ男子一同は、心通わせた、それぞれの相棒。おにんにんちゃんが怖がって、巣穴である体内に潜り込もうとする、なんとも言えない――いわゆる〝玉ひゅん〟の感覚に身悶え。




