取り組み後のインタビューは、控えせて頂きます
正直……嬉しさなど皆無。あろうはずも無い――疲労感とようやく「終わった……」と言う、脱力感しかなかったが、まばらに起こり始めた拍手の波に対して、お義理で手を掲げる「うぇ~い……」
(既になんかもう……、シンドイ……メドい)。
「……デズデモーナは?」
アルシェノエルに聞いてみると、あの後。仲間たちの手によって部屋に運ばれる途中で目覚め、そして「……疲れた」と言い残して部屋に入ると、そのまま休んだ様だと――言葉少なく、教えてくれた。
そして暫く、そっとしておいてやって欲しいとも――。
経緯はどうあれ、彼女の勝負に賭けた執念、そのものを考えれば――破れたと言う事実は、気の強い彼女であっても、ショックは大きいに違いない。
俺は、チームの仲間を気遣う、アルシェノエルの言葉に従うことにした。
* * *
そっとしておくと言ったな? あれは嘘だ。
最初こそは、アルシェノエルに言われた通り――デズデモーナには今日は、ゆっくり休んで貰おうと考えていた俺だったが……。彼女の様子が気が気でなく。厨房に潜り込むと、彼女に届ける食事を手づから用意して、部屋に届けると言う名目で完全武装して、様子を見に伺うことに。
(ショックで……自殺とか……して……ないよな)
領域のオーナー様が、呑んだくれてクダ巻いていらっしゃらなければ――。一言、アイツに訊ねれば、それも分かっただろうし、それ以前に誰かが死ぬなどと言うことを、心配する必要も無かった訳ではあるのだが。
食事を手に扉の前に立つ。なんと声をかけて良いものかと、少しの間悩むが……良い言葉が思い付かない。とりあえず扉を叩くと、意外にも彼女は、そのノックに応えて直ぐに扉を開けてくれた「来ると思ってた……旦那様」
呆れた様な、少し気恥ずかしさを浮かべる様な――そんな表情。




