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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
十九章:真面目過ぎる彼女

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考え無しのバカ、それは俺

 俺は、森の中で初めてスコラスチカに出会った時に聞かせて貰った話を思い出していた――『私……目が多いせいで、焦点が合わせづらいのよ……。動くモノは基本、襲って確保しちゃうんだけど』と言う、彼女のアラーニェの性質についてを。


 ことが終わって考えなおしてみれば、こんな確実性に欠ける危険な方法を選択した、自分の考えの無さをと言うよりも思考放棄を――責め立ててやりたくもなったが……。けれども切羽詰まっていた俺は、それまで延々と、あれこれ思い悩んでいたにもかかわらず、咄嗟に彼女の性質を利用させて貰うことを選択してしまっていた。


 背中を向けて歩き去ろうとしていた彼女ではあったが、きっとこちらの様子は「見えて」いたことだろう。彼女の頭には、俺たちとは比べるのも馬鹿らしい、多くの眼がある。


 問題は、歩き去る彼女が屋根の頂から向こうへ姿消すまでしか時間が無いことだった。流石に、そうなってしまえば彼女であっても、こちらの様子を見ることはできない。


 そしてなにより――彼女が糸を吐き出す、蜘蛛の下半身に存在する篩板(しばん)が、死角に入ってしまう。彼女がこちらに背中を向けて、篩板がこちらを向いていることが、俺の浅過ぎる目論見を成功させる絶対条件と言えた。


 スコラスチカは、こちらの思惑通りの……期待通りの反応を取ってくれた。俺が馬から落馬させたデズデモーナを、――きっと焦点の合わせづらい目で、感覚器に感じる空気の動きから感じ取り「それが」なにかは分からない内に、糸を吐き出して、確認するために縫い止めてみせてくれた。


 馬上槍で胴を薙がれ、衝撃で意識を失ったデズデモーナを抱き上げる、スコラスチカ。


「なにが落ちたのかと思って、思わず捕まえちゃったけど……もし、私が〝お仕事〟で飽きて、糸を吐く気を無くしてたら、どうしてたの?」


(これっぽっちも……考えていなかった……)

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