知恵を借りようにも、アイツらね?
「――それで」アルシェの透き通るような声。彼女は傍らの水差しから、オレンジにレモン、ライムの薄切りで、香り付けされた水をグラスに注ぐと、白い喉を鳴らして飲み干し、一息ついて「先ほどは……浮かない顔を、なさっておられたようだが?」
彼女たちの遊興の場をぶち壊す前の――俺が、しかめっ面で歩き回っていた理由について、彼女は聞いてくれているのだろう。
自己嫌悪に飽きると彼女に、造成が完了した街について、まとまらない考えのまま、――どうしたら良いものかと知恵を借りることにした。
* * *
「がわ」だけは立派な街に、どう人に住みついて貰えば良いのか、まるで考えつかない。雑然としたままの俺の話に、静かに耳を傾けてくれる彼女。
一区切り、話し終えたところで
「善い知恵が欲しければ、陶片の娘たちを頼れば宜しかっただろうに……しかし、私の様な若輩者に頼って頂き嬉しい限りだ」
至極、当然とも思える――陶片に頼ると言う考えを彼女は提示。
(それも考えないでは……無かったけれど)
……いやね? あいつらに、その手の相談をしようものなら……毎度、毎度。加減も なにも知らないプランを、とんでもない量、言ってきやがるんですもの。
しかも、その中の指示には下手すると「……これ、マジで?」って感じの、朝出掛ける際には外履きの紐は、どちらの足から、なになに結びで結べ。何色のハンカチを持って出かけろ。誰々と話している最中に、どこどこまで話を進めたら、右手でハンカチを取り出して汗を拭え
もはや、なんと言うか……スピリチュアルな お話にしか思えない羅列を、押し付けて来るんですもの。終わってみれば、ひとつひとつのことに、意味はあったんだと分かることもあるけど――正直、意味分からな過ぎて、不安になるんだよね。




