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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
十九章:真面目過ぎる彼女

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ヴィネット ~Vignette~

 領内11ヶ所に造成された街を回ることは、俺の日課のひとつに組み込まれてしまった。ネル曰く「縄張りの管理は、オスの仕事よ」とのこと。


 なんだか良く分からない、ケモノな理屈を振りかざされるまでも無く、暇を持て余し気味の俺は、住まいの『門』を潜れば、お目当ての街に向かうことができる、その手軽さも有って、退屈になると、それらの街に足を延ばすようになっていた。


 屋敷に在る『門』の傍らに置かれた、ゴシック調の象嵌(ぞうがん)が施された、ガラス貼りのコレクション・ケース。


 その中に並ぶ――未だ、この『門』の仕組みも、操作も理解できない俺のために、デシレアが用意してくれた、それぞれの転移先を示す――情景の一部を立体的に切り出した構図の、精緻過ぎる手のひらサイズのジオラマ。――ヴィネット。


 その時、その時の天候などまでもがーーまるで生きているかの様に景色を変えて見せる、このヴィネットの中から、その日の気分で行き先を決めて、手に触れ――そして、その場所へと足を運ぶことは、俺のささやかな楽しみになっていた。


 それが――造成された街の住人の大半が、そのほぼ全ての住人が、人の皮を被った悪魔の分霊(わけみたま)が演じるエキストラで、その完全とも言える、遅滞の無い意志疎通によって支えられている現状、自演乙な……悲し過ぎるディストピア感、満載の街であったとしても。


 目を(つむ)って手を伸ばすと、適当にヴィネットに触れて、行き先を定め――その日も領内のどこかへ、一人出掛けることにした。

 



 * * *




 ――風を受けて、回転する巨大なブレードを下から見上げる。


 地面からブレードの先端まで100メートルにも及びそうな 先日、見物させて貰った投石機にも似た威容。


「いかがです? デシレアお嬢様が、用意下さいました風力発電機は」


 誰も居ないと思っていたこの場所に、いつの間にか老婆に化けたアルパゴンが立っていた。

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