お立ち台は、キライ
新しい屋敷の住人となった37匹のゴブリンたちのまとめ役として働いて貰うことにした訳だが、幸いにして、この采配に反発は――見る限りでは、全く起こらなかった。
アルパゴンに確認してみたところ、彼らゴブリンに取って「ガラス」は権威を象徴するものであるらしく、それで造られたブレスレットを持つ者と言う存在は、それだけで、ひれ伏すに値する者であるらしい。
「ね? 悩むだけ馬鹿らしいでしょ? ご主人様のお住まいになられていた世界で、適当にビーズでも買って来て贈れば、それで良かったんですって」
ガラスを珍重して、金をだまし取られたと聞く、アメリカの先住民の方々の後味の悪いエピソードのようだなと感じる俺に、悪魔が自身の主張が正しかったことを、ここぞとばかりにアピール(お忙しい所で、お手間取らせちゃって悪ぅ……ござんしたね)
ネルの聖域となってしまっている酒蔵から、ちょろまかして来たワインのボトルが詰まった木箱と、お手製のチーズのいくつかに、固焼きのずっしりと重いパン、自家製のピクルスを詰めた瓶に、同じく自家製の燻製肉をアルパゴンに言って渡させると、その夜の贈呈式を終了することにした。
* * *
宿場町とは、もはや口にするも憚られる……こちらの世界の基準で考えれば、先進的過ぎる、海を臨むロケーション。その街並みを前にしてのテープ・カット。
街の名前は、考えるのも面倒だったことから――昔、大学の講義で聞き齧ったフランスの革命歴から、14日を意味するレズィダの街と定めた。こちらの暦と、あちらの暦では、各月の日数も異なるため、あくまでも……こちらの暦の上で、14日に街並みが一通り完成したと、言った程度の意味合いに過ぎなかったが。
テープ・カットの場には人の群れ。ただし、その9割9分は、人の皮を被って化けたアルパゴンがサクラを務め――残りは、ほぼ屋敷の面々と言う、なんともカラオケ・ボックスの合いの手、拍手機能ばりに空々しい、形ばかりの式典の場。
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