感染魔術は、手先が命
「ゴブリンに御褒美のぉ……なんか……あったかのぅ」
あぐらをかいて天井を見上げ、考える褐色ロリ。
「あ、も……勿論! ヴィルマ先生のですね? 相談のお礼には、ハイチュウをですね?」間髪を入れずに揉み手しつつの御機嫌取り。
「懐柔策として……贈り物。だったら同時に、その黒い汚泥ちゃんに……ゴブリンのみんなを纏め上げさせるような……権威付けも兼ねる様な物が、イイのかも……」
(なんだろう……こんな小さな子たちに頼る……俺の存在意義って……)
暫くしてヴィルマは立ち上がると、部屋の箱の中身を漁り始め――デシレアは、いつもの様に、いつもの如く、自身の髪の色を想起させる光を両手の間に生み出して、なにかを創り出し始めていた。
「あ! あったのじゃ! これじゃ、これじゃ♬」取り出して来たのは恐らく、パイプ・ウニの棘を繋ぎ合わせた首飾り状の物「砂浜で拾い集めてはおったのじゃが、一向に必要な量が集まらないから諦めておったのじゃ。ゴブリンの首回りにと言うなら、多分……問題無いのじゃ♪」南国の空気漂う、ヴィルマお手製の民芸品が手渡される。
「……ねぇ? おにーちゃん」パイプウニの首飾りを受け取り、縦から横から、かざして眺めていると「ついでに、魔術師のみんなに杖が作りたいの……。前におねーちゃんと、アルパゴンにストックが有るって聞いたんだけど、マギアタイト貰って……イイ? 杖を創るのに使いたいの……。あれは、わたしには加工はできても……創れないの」
俺のために、いつもアレコレと手を焼いてくれる彼女が、必要と言うものを断る気は起きようハズも無く。そもそも悪魔から送られてから、そのまま忘れていた――価値も良く分からない品を惜しむ気にもならず。喜んで彼女が求めるままに供出することにした。




