秘された属性
これも釘を刺しておかねば、ならないことなのだろう。
面倒臭いことばかりが、雪だるまの式に膨らんで俺を追い立てる、この屋敷のシステムは……もはや仕様か何かなのかと疑いたくなる。
俺はイープを見下ろす様に前に立つと、微かに怯えて震える彼女を前にして
「……自分から正直に言って出た覚悟は、褒めてあげるぞ? イープ」声のトーンを落とし、彼女をほんの少しだけ、威圧するみたいに「けれども、それはそれ……これはこれ。罰は受けて貰おうか」
その場の皆に、緊張した空気が漂う。
「御、御主人! 御主人……様っ! 罰なら、あ……あたしが! あたしめが! ど、どんな辱めに満ちた! めくるめく、倒錯した性的な罰でも甘んじて受けます故に! ……こ、この子たちは! この子たちはお許しを!? こう見えて! このあたしは隠れ巨乳としては、ちょっとしたものですぞ?! いささか締まりの無い、だらしのない肉付きの身体と言われてしまえば、それまでではありますがっ?! この忌々しい三白眼が戴けないと言うのでございましたなら! 目隠しを装着させて頂いてから――この屋敷に隠されていそうな拷問室なり、虜囚を閉じ込める牢なりに連れ込んで頂き! 人知れず、弄んで下さるのも厭いま……せん!!」
……えっとね? アスタくん。その君の妹たちを庇う、心意気はね? 買うよ? 買う買う。とても素晴らしいと思うよ? けどね? この俺に、聞こえの悪い妙な性癖を期待するのは……止めて頂けないかな? なんだ? その言い切った後の力強い……すぴっ♪ って鼻息は? 後半は、もはや……お前のリクエストじゃねえか。あと、この屋敷に拷問室やら、虜囚を閉じ込める牢だとか、そんな薄気味の悪ぃものは無ぇよ。……多分。でも、隠れ巨乳かぁ。知ってはいたけど。……う~ん。隠れ……巨乳ねぇ。隠れ巨乳……。
計らずとも、考えを乱されていたことに気付いた俺は、内心を見事に包み隠してのけて、イープに――お灸を据えることに。




