投げ渡された皮算用
以前、アルパゴンの地下に埋もれた劇場に赴いた際。地下では、きっと陶片の通話もできないに違いないと考えた事もあった訳だが。それは間違いであると、告げられたにもかかわらず――俺の頭は、それに気づくことすら無く。彼女のテクニカル・タームと、ファンタジーが混ぜ合わされた、供給過多な情報をシャット・アウト。
でもね? 腰を据えてね? 落ち着いた環境で、お勉強すればね? 多少、お勉強は……できるようにはなったんですよ? これでもね……。
お話を聞き流した俺をすぐさま『読み取って』海水を吸い込んだフグの様に、デシレアがほっぺを膨らませる。そんな柔らかな彼女の頬を両側から指で弄び、挟んで意地悪する。
「……それで、俺は一体……。この土地をどうすれば良いんでしょうか?」頭によぎった、土地の全てを田畑として耕す、地獄の様な労働のイメージに――俺は震えた。
(北のゼロ年的な展開だけは……嫌だ)
* * *
もくもくと湧き上がる黒雲の様な、不安のイメージが頭の中を満たす。法皇の一声で、公には知られることも無く、認めさせられている、土地所有についてのか細い認可。
法皇の権勢が弱まった途端、新たな権力者に召し上げられる未来が目に浮かぶ。
(そして……どうして、その土地を召し上げる権力者側のイメージのキャスティングに、デシレアが起用されているんだ……)
取って付けたカイゼル髭が眩しいデシレアに、俺とネルが泣き叫びながら土地を追われる楽し気なイメージが――。
「どうすれば良いのか? と申されますよりも……百千万憶様が、なにを、どうなさりたいか――ではないかと、わたくしは考えます」
それが、まるで思いつかなかったから、こうして訪ねて来たと言うのに、と……こぼしそうになったところで、彼は――




