華麗に転身
頭数について尋ねると、口々にそれについての説明が返って来る。曰く、この村のオークのもののぐを運ぶ仕事の際、取り落としてしまい、まとめて数名が無礼討ちにされた……と。
(ハッハッハッ~♪ 今更、あいつらがすることで、その程度のこと♬ 驚きもしないもん……ね…………)
「……我ラ、蛆谷ノ部族……呪術師サマ……ノ元、身ヲ粉ニ……シテ……オ仕エ……シマシュ……」
そりゃあ……こいつらも必死になりますわ。
しかし、こいつ等を――そのまま信用すると言うのも……危険に違いない。
俺は指輪から『おちんちんシリーズ』を取り出すと、声を上げた。
「俺の手に握られた物を見ろぉ!」
クラス『ボトラー』から『ニギラー』に、華麗にクラスチェンジした俺は――彼らが、生活している柵で囲われた空間、そこに積み上がる赤茶けた粗末な土器に銃口を向け、立て続けに6発を乱射して見せた。
頭を押さえて、うずくまり悲鳴を上げるゴブリンたち。
(こんなん……俺のキャラじゃない……うぅ、こ、心が痛いぃ)
――硝煙が晴れると彼らは、見たことも無いほどの震えようで、目を見開いて、こちらを注視していた。
「……イイか? 今から……お前たちは、俺のお家で暮らすことになる……が」
できるだけドスを利かせた声を出しているつもりではある……。けれども俺は、ツォンカパや、店長なんかとは役処がまるで違う。そんなものが都合良く、巧く出せる訳も無い。
些か裏返った声で有ったのは、まぁ否めない。
大根役者、丸出しで頑張る俺――それでもゴブリンたちは、それまで見たことも、聞いたことも無かった、.357マグナム弾の発砲音の恐ろしさに呑まれて、俺の話を黙って聞いていた。
「俺のお家の中には、沢山の人たちが一緒に生活してる。山羊さんも、鶏さんも、熊さんも、馬さんも居る。迷惑をかけたりしたら……分かってるな? 今の音が、ポポポポポ~ン♬ と、鳴り響いて……ああ、なると思え」
銃口で割れた土器を指すとゴブリンたちは、身体を縮こまらせて――その日、幾度目かの平伏。
(釘は、刺せたの……かなっ?)
 




