USO 800
互いに顔を見合わせるオークたち。
「終いだが? 他に、なにかあるのか?」(そうだった……こいつら……そう言う奴らだった……)
徹底的に無駄を嫌い、遊びが無いのが……こいつ等オークと言う奴らなのだ。
折角、御神体を組み立てての この楽しいイベントも、こいつ等からしてみれば「いざ! 鎌倉っ!」と言う際に、組み立てる技術は絶えていないか? 各部位、腐食は無いか? 発射は可能か? その手の事を確認する意味合いの方が、重要に違いない。
いや、それはそれで大事だよ? うん。大事大事。
「なにをどうしたいのだ? 言いたいことがあれば言え、ツモイよ」
回りくどいことを嫌う、彼らの性質からすれば、俺のあれこれ思い悩む性格は、さぞかし鬱陶しく感じるのだろう。じれた声で俺に話を促す。
率直に言って、遊び足りなかった俺は、彼らを相手にひとつ話をすることにした。
* * *
「俺の生まれ育った故郷の話だ……」そんな感じで始めた話に、興味を示してくれた何人かのオークたちが、耳を傾けてくれた。
「その昔、イーサーと言う、それはそれは強力な神の血を引く支配者が居たんだ」
「……ほう」
「で、そのイーサーはだな? 自分の配下の名だたる戦士たちの中で、誰がもっとも強力な戦士であるのかを知るために、信長、カエサル……劉備、えぇ~っと、あと……誰だ? ダース・ヴェイダーと、……スティーブ・オースチン? に、こう言ったんだ。……お前たちに、私の力の一端を分け与えようってな」
「神の……力をか?」
「そう神の力。で、イーサーは袖の中からだな? チーズをワンホール取り出してだな……」
「……ちょっと待て、ツモイよ。……チーズを丸ごと袖から取り出したのか? それはチーズが小鳥か、子ネズミのように小さいのか? それとも……こう、その……なんとかと言う……神が巨大で、袖が途轍もなくデカいと……そう言う話なのか?」
 




