頌の部族の御神体
皆が、その日の夕食を終えて、たっぷり2時間程が経って。
――ザイツェ・アルカンから戻るなり、惰眠を貪ることに決めた俺は、もぞもぞと寝床を這い出して、食堂に一人、食べ物を探しに向かうことにした。
キッチンの冷蔵庫を開けると、ネルが作り置きしてくれていた俺の夕食の所々は――腹を空かせた、誰かに食い散らかされていた。本当に……一体、どこのヴィルマなのか。
腹を立てる気力も無かった俺は、戸棚を漁ってカップ麺を発見。沸かしたお湯を注いで、ぞるぞると啜る。
「かっ?! なんてぇ……みみっちいメシを食ってやがる」やってきたウルリーカが、俺の侘びしい食事にダメ出し「……姐さんが、用意してくれてたメシは、どーした?」
その用意されていたメシが、冷蔵庫に有ることを説明すると、ウルリーカは文句を垂れながら、それを取りに向かい――食い荒らされた皿の名残りを目にするや、開いた冷蔵庫の扉をそっと閉じた。
「相変わらず……色々と……痛ましいオスだな。あんた」
カップのスープを飲み干して、小うるさいオークの娘に「腹空かせてるなら、何か作るか?」ここに来た理由を察して訊ねてやると、別にイイとの御返事。
「……それよりもだ」キッチンの椅子をひとつ引いて、ドカッと腰を降ろした彼女が、忌々し気な口ぶり「村の奴らがよ? 御神体を引っ張り出す時期が来たとかで、あんたにも来いって、言付けを預かって来たぜ……正直、面白くねぇが」
御神体を引っ張り出すから俺に顔を出せ? それに対して癪に障るといった表情を浮かべるウルリーカ――ちょっと意味が分からない。
口を開けば闘諍、闘諍と争いごとをこよなく愛するコイツらオークのこと……目の前の不機嫌な娘に、身の危険は無いのかと……恐る恐ると、さぐりを入れる――
「どんだけ……臆病モンなんだよ」と、呆れた声「このオスが……オレを降した相手とか悲しくなるぜ」(褒められちゃった♪)
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