本当の力を……見せる時が来たようだな。
(……う~ん。全く、なにを話しておられるのか、分かりゃしねぇ……)
このまま、この2人を眺めていても、理解不能な言葉を聞かされ続けるだけで、話は一向に進まない。俺は――唇を噛みしめて目に涙を溜めて、スカートの裾を握りしめるデシレアに、そっと聞いてみていた。
「……デシレア? お前が鉱石や鉱物の加工された記憶を持ってるって以前、有栖川さんに聞いたけど……俺の銃、作ってくれた時みたいな感じで……寸分違わない……その、同じものを創り出せないのか?」
俺の言葉に、ちらりとアルパゴンの顔を見るデシレア。そう、問題は歴史的価値があった悪魔のコレクションを新造してしまうことにあるのだが……。
この悪魔は――仕方が無いと言った感じで「……お手数ではありますが、経年劣化の再現も、お願い頂けますか?」と、それで手を打ってくれた。
* * *
「うはあぁ~~~~っつ♬ カノーネン・フォーゲルぅ♪」
デシレアが、寸分違わず復元してみせた悪魔のコレクション。
アルパゴンは、目の前で再構築されたそれらを、最初は徹底的な――慣れた様子でチェックして回り、それまでと全く同じであることを確認すると、歓声を上げて自身のコレクションに駆け寄って、頬擦りをし始めた。
一仕事終えて、息をつくデシレアに労いの言葉を掛けた後で――
「デシレア? トーヴェ? 今からアルパゴンの太鼓持ちに徹するぞ? 俺たちの総力を挙げて……この悪魔の御機嫌を取るぞ……」
家庭内に――揉めごとを持ち込まないための指針を提示。
(でも、人の生き死にに関わることは、スルーの方向で……)
こくこくと頷く義妹たち。
デシレアに創り出して貰った、カー・ワックスを後ろ手に受け取ると――そそそっと、悪魔に忍び寄る俺。
「あのぉ~? アルパゴンさん? 宜しければぁ……ワックス掛けなんて如何です?」




