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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
三章:うろくづの森

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死ぬ死ぬ……死んじゃう

 上擦った声で、その考えを否定するものの……否定しきれる材料は、これっぽっちも思い浮かばなかった。それどころか──ゲームと、サブカル関連の掲示板から得た(いびつ)な知識が、その情景を補完して行く。


「ど、どうしましょう?」


「どーしたものかしらねぇ……」


 俺の問いにネルが、途方に暮れた様子で応える。


「アタシのおっぱい飲んで……若返った姿を見ても、変化に気づいて貰えなかったのよね?」


「……お、おぉ」


「別人に成りすましてやり過ごすには、もっと、もぉ~っと外見が変わるくらい、若返らなきゃってことになると……それはそれで問題よ……ね?」 


「……………………」




 * * *




 心の底から、このオークと出会ってしまったことを、後悔していた。


 その後も、ネルと2人でツォンカパに、穏便に諦めて貰う方法についての話し合いを続けたものの、良い案は、浮かばないまま朝を迎えていた。次から次に浮かんでは消える不安から、一睡もできなかった。


 そして結局、ネルが提案した「老齢のツォンカパが寿命を迎えるまで、あまり時間も無いのだから、それまでの間。のんべんだらりと、トレーニングに顔を出しつつ『見所無し』の印可を頂いて、フェードアウトしよう」というプランを選択することに。


 ──それ以外の選択肢が、捻り出せなかったとも言えるが。


 そんな訳で翌日から、地獄の毎日が始まった。



「……ツ゛……ォ゛……ン゛……カ……パ……さぁ゛……ん゛」


「『さん』など要らん。煩わしい。どうした? ツモイよ?」


 どーしたも、こーしたものストレッチと言う名の拷問。始まって10秒も経たない内に、俺は悲鳴を上げたくなった。


 ……が、上げたかったが、上げられない。


 股割りの形で地面に座るように言われ……その間も、必死に言い訳を考え続けていたのだが、その考える余裕すら、奪い取られてしまっていた。

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