デシレアは、おねーちゃん
彼女の吃音を考えれば、先程のショート・カットの中で、説明を頼まれたのかも知れない。
「簡単に説明するとね? おにーちゃんは周りの大気の動きを、直観的に把握できる様になってるハズだよ」
一瞬、どういうことなのかと頭をめぐらす(……トーヴェが、俺の顔をぺろぺろ嘗め回したことで……大気の動きを把握できるようになった?)
15少年漂流記か、なにか他の本か……それを思い出すことはできなかったが。口に指を入れて湿らせて、空気の流れを読むワンシーンが頭に浮かぶ。
「大体、そんな感じ、そんな感じ……?」
苦しそうな表情で俺の理解を肯定する彼女。ほんとか? これであってんのか? 重ね重ね、くどい……ようではありますが――、もっと……こう、色々と格好イイ感じであってくれたなら喜ばしかったぞ?。
説明係の役割を果たそうと、おねーちゃんは頑張ってくれる御様子。可愛らしい、いかにもな咳払いをひとつして。
この加護とやらについてを、改めて丁寧に説明してくれた。
* * *
説明を受けたものの、今ひとつピンと来なかった俺は結局『門』を潜り、アルパゴンの実家、ザイツェ・アルカンにやって来ていた。
俗に「魔界」と、呼ばれる――平行する交わらない世界。
ボコボコと煮えたぎる溶岩か、泡立つ毒の沼が至る所に点在する様な、おどろおどろしい景観の世界……なんてことは無く。
この土地。ザイツェ・アルカンは、見渡す限り海に面した、冷たい風が吹きすさぶ、西部劇なんかで、見かけるコロコロ回転する枯草、タンブル・ウィードが大地を走る不毛の砂漠が拡がっていた。
まぁ……魔界と言うか地獄と言うか。そういう視点で、この世界を見るのであれば「らしい」と言えば……らしいロケーションなのかも知れなかったが。
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