ぺろぺろが、もたらした異能
俺が彼女の妹に不埒を働いた釈明から、女の子の扱いへと話は移り、そしてそこから何がどうなって、日課の射撃トレーニングが不要と言う流れになったのか――理解できない俺の頭が……悪いのか?。
首を捻る俺を見上げてデシレアは、イタズラの種明かしをするみたいに、ご機嫌な様子で――ひとつひとつ説明してくれた。
* * *
彼女の話しによると――俺はトーヴェによる「ぺろぺろ」という名の加護を身に受けたのだとか? もっとそこは、絵面的にも……聞こえよう的にも……どうにかならなかったのかと声を上げたかったところでは……ある。
彼女たち姉妹は基本的には、思考や体験した事柄が共有されるという話を、以前ネルに聞いた記憶もあった……気はするが――。
アンティグアでの銃撃戦のあと、俺の射撃の腕のお粗末っぷりが、指輪とネルを経由して姉妹の知るところとなって――トーヴェは、この屋敷に駆けつけてくれた……というのが、今回の来訪理由らしい。
そして、俺の姿を目にして昔を思い出した彼女は、衝動を抑えきれずに俺に襲い掛かり。彼女の最上級の親愛を示す行動をもって、俺の顔をよだれ塗れにしてみせ――。
「……加護……じゃ、ねぇだろ」思わず口をついた言葉にデシレアが苦笑いを浮かべる「……う、うん。まぁ……ね? わたしたち獣だから、本能や情動を抑えきれないことが時々あるんだよ」
今も忘れ得ぬネルと初めて会った日のことを思い出す。そう言えばネルにも襲い掛かられたっけ――。
「お……お、おにーちゃん……そ、そ、そこまで……そこまで。……赤裸々なイメージの奔流に、対象年齢が跳ね上がっちゃいそうだよ……」
常時発動[思考のフル・フロンタル]これを俺の方で、どうにかできるのなら……とっくにしているのだってば。
顔を赤くして、わたわたとしてみせたあと、
デシレアは、トーヴェが本能に根差す欲求を満足させた後で、俺に与えてくれた加護についてを――この場には居ない妹に代わって説明してくれた。




