発泡スチロールが擦れるみたいな
生まれ変わる以前の俺と彼女は、ネルの姉妹の内では、ネルを除けば最も付き合いが深かった――と、言うよりも、懐いてくれていたのが彼女らしく
「俺の姿をひと目、目にして様々な感情と、ぺろぺろを抑えきれず……」
申し訳無さ気に、理由をぽつりぽつりと……相変わらずの酷い吃音をハサミ代わりに、細切れにして――呟くように釈明にした。
「……に、に……にぃに……にぃに……きりりりっ……きしっ……きしっ……ねぇね……ねぇね……ねぇ……ききゅきゅ! ……ききゅっ」
夢の中で俺たちに甘える この子の寝言をラジオ代わりに……ネルと背中を合わせ、もうひと眠りすることにした。
* * *
翌朝の朝食の席にトーヴェは、ヴィルマ、イープ、ゲルダの勇ましいガードに囲まれて、オドオドと食堂に姿を見せた。
彼女が、いつの間にベッドから姿を消していたのかは、分からなかったが――子供の時分、確かに俺も朝が早かったことを思い返せば、それは特に驚くことでも無いのかも知れない。
……いや多分、彼女も億を数える年月を生きた龍なのだろうし、これは当て嵌まらないのか。
いつもの定位置に座る俺から、トーヴェを遮る様に布陣したチビっ子3人は、監視と警戒を緩めることなく席につき、口々に護衛対象に言って聞かせていた。
曰く、あんな酷い事を平気で言う屋敷の主に虐めさせはしない……さも人を邪智暴虐の輩みたいに。皆の矛をなんとか収めさせたい、けれども皆との接し方が解らず狼狽えるトーヴェ。
この様子では屋敷の皆に、俺のマイナス・イメージがいつもの猛烈な感染力を発揮して、伝播するのも時間の問題。
これに感染しないのは……細かいことをまるで気にしないオークの娘たちと、この様子を面白がって、ニコニコ眺めているスコラスチカくらいしか、居ないんじゃないだろうか?。




