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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
十四章:白銀(はくぎん)

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もうダメぽ……

 床から耳に届く音から――メルトゥイユが駆け寄るのが感じられた。俺は目にしてしまった「それ」に恐怖の虜になって、みっともない声を上げ続ける。


 呑み込まれた糸の塊の中で目にした「それ」は――真っ赤に輝く、小さな2つの目と、俺のシャツの胸元を掴む、病的に痩せ細ったガリガリの子供の腕。


 反射的に指輪から「おちんちんシリーズ」を1丁呼び出すが、それを手にした腕は、直ぐに糸にがんじがらめにされて――と言うよりも、恐ろしい力で糸に押さえつけられて、引き金に指をかけることも、動かすこともできない。


「に……に…………に……に……」


 そんな中で耳にした、明らかに声と分かるソレ。


 俺に残された最後の平常心を消し飛ばすには充分な、壊れた楽器が鳴らす音のような声。


 大声で喚いて、もがくも――糸に呑み込まれた俺には、部屋の様子を窺うこともできない。そして――メルトゥイユの身の安全を気にかける余裕すらも、失ってしまっていた。


 ぱたっぱたっ……と顔に落ちる液体。それが何であるかは直ぐに理解できた。顔を嘗め回すヌメる舌の感触。舌は俺の両目を探り当てると――瞼を抉じ開ける様に眼球を執拗に嘗め回し続ける。


 俺は、そこで恐怖に囚われた意識を手放した。




 * * *




「んん~~~っ♪」


 幾度と無く耳にした、聞き覚えのある幼さ残る声。


 朦朧とする意識の中、部屋に満たされた、甘いお菓子の香りと柔らかな――覚えのある太ももの感触と、髪を撫でる手。


「どうじゃあ? イープ、美味しかろうなのじゃ♬」

「……うん。食べたこと無い」

「こ、この! 甘さの中に、ほろ苦さを感じる……く、黒いの! 大好き! いつものと味が違う?!」

「ア〝ア〝ア〝ッ……〝ア〝アッ♪ ア〝ア〝ア〝ッ〝ア〝ッ♬」


 耳に届くのは、屋敷の娘っ子どもの――おやつ時に交わされる団欒。

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