やっぱり……この人、相容れねぇ。
「有栖川さんまで揃って、なにやってんですか!!」
空模様に負けじと俺が落とす雷に彼は――3人一列に廊下に正座して、子供っぽく唇を尖らせる。
「だって……面白そうでしたし……」(こ、この人は……)
「つ、ツガータあぁ……あ、あ、足が……足が、びりびりするのじゃあぁ……」
経験も無いだろう正座に、ヴィルマは直ぐに音を上げた。しかし、慈悲は無い。
「1時間は、そのままで反省しろ!」
そして、……しゅん、とした様子で俯く、デシレアに対しても俺はーー最大級の怒りを込めて叱りつける「めっ!」
その声に轟々と批難の声を上げる褐色ロリ――。
「ず、ずっるいのじゃ! なんでデシレアばかり、そんなに甘々なのじゃ! 公平な扱いと再審を要求するのじゃ!」
「…………」悪口雑言の雨あられ。そのヴィルマの横で――禅僧が見せる様な蘭心竹性の座相に見せる有栖川さん(やっぱり……俺とあんたは、相容れない様ですな……)
「ぴゅい……ぴゅいィ~っ……」
主の減刑を嘆願する、ぴむぴむくんの悲しげな鳴き声。必死に俺の脚にすがり付く様に掴まり立ちして――しきりにズボンの裾を引っ張ってくる(……つぶらな、お目々が可愛いじゃねぇか……この野郎)。
「……あ、あの……そこにいらっしゃるのは……旦那様……ですか?」
ぴむぴむくんと見つめ合っていると、雷鳴におっかなびっくりしながら――黒髪に、白いリボンを巻き付けたままのネリッサが、階段を降りてやって来た。空に雷光が走ると同時に、小さく悲鳴を上げて肩をすくめる。
……君も、そのメンタルで良くあんな……槍でド突き合う競技をやってこれたなと。
彼女がこの時間にも関わらず、そんな恰好でいる理由もーー朝食も摂りに、顔を見せなかったことから察するなら、雷に怯えてベッドに潜り込み続けていたと、言ったところか?。
「……先ほどから、なんだか……恐ろしい悲鳴が聞こえてくるんですが……」
 




