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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
十四章:白銀(はくぎん)

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確定された存在確率

「待って! な、なにが?! なにが不満なの?」


 ヴィルマを引き留める慌てた声。溜息ひとつ、理由を口にする交渉相手。


「分かっておらんのじゃ……こう言う場合は、HERSHEY,Sのチョコレー……」


「有栖川! 直ぐに御用意して!」


 陶片を取り出し、何時もの様に手配を始める彼。


 その頃には既に俺は――皆の真後ろまで近づいていた訳だったが……そこに来ても誰一人、俺に気づいてはくれなかった。


 唯一、ぴむぴむくんのみが。


 抱っこされて顔をこちらに向けていたこともあって、気づいてくれたが――ご主人さまのよしよし♡ に、抗うことも出来ずに、


 重たそうな瞼を閉ざして、すやぁ〜。


「……交渉成立じゃ」


 ヴィルマの黒い声。ホント……なんなんだ、このやり取り?。


「そ、それじゃあ聞くわね?」固唾を飲み下して口を開くデシレア「……なん本だったの?」


 何本? 相場か……取引単位としての符牒か、なにかなのか?。


「間違い無く、1本じゃ」交渉を成立させてみせたやり手の彼女にヴィルマは、はっきりとそう告げる。デシレアの背中からも伺える、その動揺を意にも解さない様子で――、「おでこを貸すのじゃ。お主に……その時の、わしの記憶を特別サービスで覗かせてあげるのじゃ」


 微かに躊躇う空気。意を決した様子で、目を瞑り――手で前髪をあげて、言われる通りに、おでこをくっつけるデシレア。


「……ほ、本当だ!? い、1本しかない! おしりに当たった感触も1本だけ?! そ、そんな!! そんな?! でも……ヴィルマのおしりに当たった感触から、形とサイズの3Dデータをーー取得っ!!」(……ん?)


 2人の様子を見守っていた有栖川さんと、つと目が合う。


 にこっと微笑んで、会釈する有栖川さんを余所(よそ)に――(あるじ)は興奮した声。


「おにーちゃんのおちんちんは、2本じゃ無かっt……」


 最後の言葉は落雷の轟音に掻き消されて、多分、きっと……誰の耳にも届かなかった。そのあと、俺が2人の肩に置いた手に――彼女たちは屋敷に悲鳴を響き渡らせた。

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