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ば、バカな……ボケない……だと

「誰が自家発電中だ」それまで沈黙を続け、姿を見せなかったメトレス・マリアが、2階から降りて来て、愛弟子の師を貶める言葉に口を尖らせる「お前の未来についてロアと話しをしていた師を、痴れ者の様に言うでは無い」


 もそっと……常日頃から師匠らしくなされてみては如何か? と口にしたい所ではあったが、彼女たちの間柄にも関わること。部外者が口を挟むのも躊躇われる。なんかこの教会に来て、俺の忍耐試されまくり。


「我が弟子……愛らしいヴィルマよ。これも善い機会やも知れぬ」ここに来て初めての彼女のお堅い物言い――期待してもいいんですか?。


「お前に……秘儀を与えるに足るか、否かを試させて貰う」(おおぉ?)


 凄いぞ! このメトレス・マリアが……メトレス・マリアが師匠らしい、勿体付けた思わせぶりなセリフを見事に吐いてみせてる! どういう風の吹き回しだ!? ……でも、どうせ……ここからオチるんでしょ?。


 ――期待もせずに彼女が続ける言葉に耳を傾ける。


「私は今回のこの件、一切手出しはせぬ。愛らしいヴィルマよ。この島に小汚いゴミをばら撒いた無礼者に、お前が礼儀と言うものを教えてやるのだ」(なん……だと?)


 予想を裏切って、師匠ポジションを堅持し続けてみせたメトレス・マリア。彼女に対して、初めて感心していた俺ではあったけれど――その言葉の中にあった『お前が礼儀と言うものを教えてやるのだ』と言う、この一言に、モヤっとしたものを感じずにはいられなかった(……こいつが、礼儀って奴を知っている様に思えるのですか?)




* * *




 スコールが上がって空に虹がかかり、日が傾き始めた頃。


 教会の周辺の家々から、手に手に物騒なマチェットや、クリケットのスティック、マッシー(5番アイアン)などを手にした――御近所のお父さんや、お兄ちゃん方が愉し気に笑い声を上げ、外に顔を出し始めた。

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