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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
十三章:紺碧のカリブ

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只今、籠城中

 削岩機を止めて教会の屋根から、スコラスチカの糸と言うよりもロープを頼りにーー部屋の中に身体を滑り込ませる。


 ――オカシイ。先日まで俺は確かに5つ星ホテルでバカンスを堪能していた……ハズ。何故、こんな南の島のリゾートで、工事現場の労働者の方々の様に汗を流していると言うのか。いや、労働の汗は尊い。尊いけれども。


 部屋に入るなりメトレス・マリアが身体に抱きついて来る。


「……男の汗の匂い」


 続く言葉の類は、もはや予想もついていた――


「そのまま! オスの匂いを纏ったままで、私と! ケダモノのように致そうじゃないか!」


 禁欲生活:1日目。既に彼女は、限界を迎えていた。


 別に恐怖から来る精神的な限界でも、物資の困窮による肉体的な疲弊と言う訳でも無く、性的な意味においての爆発寸前の臨界点が、直ぐそこに差し迫っているらしかった。


 ベント……しろっ!


「はぁ……ツガータぁ? メトレス・マリアぁ? アルパゴンが作った、ご飯できておるぞ?」


 呼んでもやって来ないダメな大人2人を迎えに来たヴィルマが溜息を洩らす。


 削岩機の振動が乗り移った腕で、メトレス・マリアをゆっくりと引き離すと――食事を摂りに階下へ。


「地元料理のシーズンライスと言うものに挑戦してみましたよ。ご主人様♪ お米、お好きでしょ?(米が嫌いな日本人っているのかよ)。ケイジャン料理の様ですが、スパイスが利いていて、善いかもでっす」


 もそもそとスプーンで、スパイスを利かせて炒められた長粒米を口運ぶ。あらまぁ、存外に美味しい。


「しっかし、流石に堪らん臭いじゃの……」


 俺の汗の臭いにヴィルマが声を上げたのかと勘違いして、年頃の娘に「クサイ」と言われたお父さんの切なさでスプーンを取り落としそうに。


(ああ、そうか……周りに積みあがる特産品のにおい……な)


 ――教会をスコラスチカの糸で強化した後で、アルパゴンに街の現場から削岩機と、それを動作させるコンプレッサーを教会にトラックで運び込ませた。

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