腑抜けるまで、呆けて居たかったけれど仕方ない
彼女たちまで武具を持ってやって来ていたのは、あきれる他無かったが……彼女たちもまた、既に汗だく。屋外で長い時間は、もたないに違いない。
まぁ……炎天下での体力の消耗に関しては、例によってボトルを使えば、なんとでもなるに違いないけれど……それをしていたら、下手したら咄嗟のタイミングで、俺が自分の身を護れない可能性も無いでは無い。と、申しますか、ネルのおっぱいで体力は消耗しなくはなるかもしれないけれど……涼しくなる訳じゃ決して無い訳で。それに、鎧の音が、特産品たちを喜ばせるような気もする。
「旦はん……ヴィルマと陶片で連絡し続けとるんやけど……やっぱり、連絡つかへん」
「ハイハイ♬ あんたたち? こう言うのは、オスの仕事なんだから」ネルの声が飛ぶ「アタシたちは邪魔になるから一端、屋敷に帰るわよ」
「んなこと言って大丈夫かよ? 姐さん……。多分、ツモイ……オレらより弱いんだぜ?」(ハッハッハッ……こやつめ。ようやく理解しおったか)。
心配気に俺を見るオークの娘たち。その視線を気にする様子も無くネルは、皆に門で帰る様に言って聞かせる「……ウルリーカ。アタシ、この人のこと生まれ変わる前から知ってるけれどね? この人の臆病で、痛がりで、どうしようもない腰抜けっぷりは、まるで変わらないのよ。間違い無く、この中で、もっとも適任よ? 問題無いわ」
信用されているのか、バカにされているのか、こき下ろされているのか……。
皆が『門』を通ってあちらに戻るのと入れ替わりで、スコラスチカがやって来た。相変わらずの気楽そうな挨拶を飛ばしたあとで、彼女は――「ハイ♪、コレ。借りて来ちゃった」ウルリーカの部屋から拝借して来たという、魔剣プルトゥングを手渡してくれた。




