おかんむり 【Picture】
その後、アルパゴンは金の使い方を誤ったカスタムをこのAKー47に施して――実家のコレクションとして仕舞い込み、辛いことや、嬉しいことがあると眺めてニヘニヘする様になる。
ウッド・パーツ部分は、頭がオカシイ紫檀製。銃剣は「夜中にナイフを打つ者」と名に冠する配下の悪魔の作。銃本体の10倍以上もする高価なバイポッド。全ての銃のレストアとオーバーホール、パーカライジング処理には――デシレアに、ヘこへこ頭を下げて頼み込んだと言う。ーー他にもっと、あるだろうにね。
* * *
「アンタね! あの悪魔と何十年も一緒に暮らしてたからって、一々相手にしてんじゃ無いわよ!」
俺の腕を取って、あの場から引き離してくれたネルは大変な、おかんむりで、白い顔を真っ赤にさせたあとで
「……それで? アンタ……どうして、此処な訳よ?」
なぜか疑問符がつく――物問い。
「……えっ? 面白そうじゃない? なんかこの教会。中は博物館になってるらしいぞ? もしかしてイクセンチェ遺跡か、火山ツアーに行きたかったか?」
こいつの呆れたものを見る表情が、俺にはまるで理解できなかった。
「行きたかないわよ」
他に行きたい場所でもあったのかと思って、聞いてやったと言うのに、どうもそれも違うらしい。
「……ひょっとして、展示品の前知識が無いから、不安で楽しめないかも? とか思ってんのか? 任せろ♬ 予習はバッチリだ」初めてでは無かろうか。俺がコイツに甲斐性を見せてやることができるのは「ここにはな? サトウキビのプランテーションで労働を強いられていた人たちの当時の生活の様子を再現しただな……」
「なんなのよアンタ……つがい連れで博物館巡りだの、遺跡巡りだの火山ツアーって……他にもっと……こう? あるでしょ? 言っとくけど……今のアタシ。いつも通りアンタの透けて見える頭の中を把握しきっちゃってて……ココでサプライズ的なものも期待できない展開に……結構、絶望してんだからね……」




