表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
三章:うろくづの森

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/1638

繰り返される問答

「貴様が手にする『よし』は『ものの……」


「ハイ!『もののぐ』ではありません! 必要な物は『杣木(そまぎ)』です!『闘諍(とうじゃう)』ではありません!」


「………………」


 再び森で出会った先日のオークの問いより先に、森を訪れた目的について、ハキハキと応える俺。


(……? ネルによれば俺は、……若返って外見が、また大幅に変わったらしいってのに、変化に気づかない……のか?)


 オークの表情と言うか、空気で分かる。どうも、このオーク……先日の俺と、今の姿の俺。顔立ちなども、だいぶ変化したハズなのに──同一の人間として認識している様子。


(ペットショップのハムスターの顔を見分けられない、ノリなのか?)。


 であるにも、かかわらず。同じ質問をして来たと言うことは、彼のこの問いは、儀礼的なもののようにも思えないでも無いけれど……。


 それをわざわざ確かめる度胸は、持ち合わせていなかった……。が、あれほど恐ろしかった存在に対して、今は指輪を通じてネルと繋がっている安心感から、普通に会話する余裕は、生まれていた。


『なにかあれば、きっとネルがなんとかしてくれる』


 なんの根拠も無かったが……。何故か、その確信だけは しっかりとあった。


「………………」


 問いに対する、間髪入れる間も無い、俺の返答を聞いたオークは、(うつむ)き加減にトボトボと森の奥へと立ち去って行く。


(……? なんだか……物凄く、がっかり……されておられますような?)


 立ち去るオークの背中に、なんともいえない哀愁のようなものが、絡みついていたが──そんなことは、知ったことでは無い。


「闘諍(戦い)」と応えたが最後。


 仮にもし、あんな巨体のオークが襲いかかって来でもしてーー無事に森を出ることができるとは、とても思えなかった。死なないにしても、痛い思いはしたくない。


(……ま、いいや。この間の(かば)の木の残りを早く持って行こう)


 ──その後、日を跨いで樺の木の残りを運ぶため、何度か森に足を踏み入れることになったが、その都度、いつも同じオークと出会い、そのたびに同じ問答が繰り返された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ