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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
十二章:馬上槍の七人

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早朝の来客

「そう言えば旦那様……?」


 槍試合のあと、屋敷の住人となったピエレットから話しかけられて――俺は怯えたように、身を竦ませてしまっていた。


「…………」


 それを見て、彼女からすれば悲しいことに、それは慣れ親しんだ反応であるのか、俺が落ち着きを見せるまで充分と言える間を待ってーー


「今朝方……早くに……屋敷に立派な口髭を蓄えられた……老紳士が、お越しになられていたのを……見かけましたが」


 こちらの世界の女性としては珍しい、髪の短い彼女がお陰で良く分かる顔をこちらに向けて、来客があったことを教えてくれた。俺は目を泳がせ――当たり障りの無い、返事でお茶を濁す。


 生来のものだと言う、大きな濁り切った瞳で覗き込んで来る彼女。必死に目を逸らす、俺の明らかに挙動不審な様子に


「……申し訳ありません。朝から……私の辛気臭い……青白い顔……なんて見たくも……ありませんよね」


 白銀を思わせる白い髪を俯かせる様にして彼女は、青い瞳を澱ませて勘違いしたまま呟く。否定しようと口を開きかけたが、俺はそれを呑み込んだ。

 

(こんなタイミングで、フォローしたって……どーすんのって話だよ。……って、言うかこの娘。良くこのメンタルで、あんな競技種目を転戦できてたな)


 隣に座るネルに助けを求めようと顔を向けるが「私、知らな~い。えっ? 何かどうかしたの? 気づかなかったぁ」と言わんばかりの様子で朝食をモリモリ口に運び、空気だけで「朝から群れのメスを、しょぼくれさせてんじゃないわよ!」と、非難してくる(……どうしろと?)。


 ピエレットが教えてくれた「口髭を蓄えた老紳士」についてには心当たりがあった。


 それは「俺」。歳食った顔で、ネルの前に現れて驚かせてやろうと考えたのが、徒になろうとは……。


 日々、トレーニングに励むようになった射撃だったが、腕前はまるで向上しなかった。余程、この分野における才能の様なものが無いらしい。そこで、そんな訳もあって俺は――我ながら思い切った行動というか……向こう見ずの謗りを免れない行動に出ることにした。

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