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鬱憤を槍代りに戦ってたら、勝ってた♡

「想像以上に今回の実入りが良かったから、実家の台所事情も大助かりよ? おまけに大奥様が約束して下さった『農作物ざっくざっく♪』で、刈り入れた作物から更に作物が実るみたいな、煎り豆が花を咲かせるような訳の分からなさで、兵糧の備蓄もびっくりするほど潤って? 税収も今年は凄いことになったみたい」


 実際に見て来たのだろう、ネルの力によって引き起こされた、有り得ない光景を思い出しているのか、御機嫌な空気を撒き散らす。


「って訳で あたしは……そんな恐ろしい龍の大奥様の力に怯える、お父様に捧げられてしまったの! なんて可哀想な、あたし!」


 そのそぶりからは、悲壮感は微塵も窺えもしない。


 「そういう訳で、よろしくね? だ・ん・な・さ・ま♡」


 これからの生活を楽しみにしているのが、透けて見える晴れやかな笑顔。そして、どうやら彼女の反応は、他の御令嬢方、共通のものであったらしい。


「……まぁ、気苦労をお掛けして申し訳無いが、あまり気に病まれないで頂きたい」


 彼女らをまとめるリーダー、アルシェノエルが――俺の複雑極まる胸中を察してくれたのか……慰めの言葉とも取れる声をかけてくれた。


「どう足掻いたところで、私たちは政略結婚の道具なり、老醜に妾として貢ぎの品代わりに、やり取りされる程度の扱いは免れられなかったのだ……。それが嫌で、無理を通して槍試合に興じて来たとも言える。そして――」


 彼女はそこまで話して少し自虐的に、その形の整った小鼻を鳴らしてみせる。


「……念願叶って、優勝してしまった。私たちを乗りこなそうなどという、殿方も最早、居られまい」


 彼女の言葉に、ここまで共に戦って来た仲間たちが、笑い声をあげる。


「貞淑で大人しいばかりの、御しやすい貴族の娘に慣れた貴族の御子息方には……さぞかし私たちは、扱いに困るジャジャ馬に違いないからな。行きつく先は修道院に放り込まれての慎ましやかな生涯かと思って来たが……」

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