華やかなのは……良いことなんだけれどね
「凄まじい規模のハーレムになって、きおったのじゃ。流石は、ツガータ。わしが見込んだ通りなのじゃ♪」
誇らし気に腕を組んで、お褒めの言葉を下さる褐色ロリ。こいつは槍試合の後から ずっと上機嫌だった。なんでもロザリンドが目を負傷して試合継続が危ぶまれるや、跳ね上がったオッズを物ともせず。
それまで荒稼ぎしていた種銭を全額突っ込んで、さらに稼いでみせたのだとか。
こんな年端もいかない内にギャンブルに興じることを咎めるべきところなのは、間違いないが……ロザリンドの目を焼いた苛性ソーダを洗い流した――スキュデリが抱えて持って来たワインの詰まった大樽。それがヴィルマの支払いによるものだと聞いた後では、頭ごなしに叱りつける訳にもいかず……。
「ヴィルマぁ~♪ それで? それで? あなたは、いくら稼いだのぉ?」
いつも通りのネルの猫撫で声。ヴィルマはその言葉を聞くや、良くぞ聞いてくれた! と云わんばかりの様子で、ぺたんこの胸を反り返らせて、誇らし気に自身の成果について語って聞かせた。
「金貨で78枚じゃ! 勿論、これはいつも世話になっておるツガータとネルに、全額BETするのじゃ! 明日のおやつは……ハイチュウが、わしは怖いぞ?」
ネルは黄色い声を上げて、椅子を蹴って立ち上がると、ヴィルマに駆け寄るなり、抱きしめてからのキスの雨。
ネルのいつも通りの現金さに眩暈。その様子から目を逸らして――げんなりして、デズデモーナに話しかける。
「……お前んところは、どうなんだよ? いや、娘をよろしく的な書状は……受け取りはしたけどもさ?」
彼女は手にしたグラスに注がれたワインに口を附け――どう? とは? そんな顔で、こちらに目を向ける。
 




