胡散臭いぞ♡
彼女たちの様子とは別に、落ち着いた物腰で俺とネルに向かい礼を述べる彼女らのリーダー、アルシェノエル。
「これも御夫妻のお力添えのお陰だ……感謝を申し上げる」
立ち上がって恭しく一礼する彼女に倣って、仲間の皆も同じく一礼。
……正直なところ居心地が悪い。すぐに、その大仰な礼に御容赦賜ろうと、声を上げようとしたところ、
ーー俺は、違和感を嗅ぎ取っていた。
いつもであれば。これだけの稼ぎを目か耳にすれば――大騒ぎして、分け前にありつこうとする、がめついネルが……。
口さえ開かなければ、見る者の目を奪う美貌に、にこやかな笑顔を浮かべるだけで……にっこにこで、素直に彼女たちの労を労っている。これは……大いにおかしい。
「……おい。ネル」不気味さに堪えきれない。
「……?」顔を上げ、怪訝な表情で、こちらに視線を向けるアルシェノエル。
「なぁ~に?」にこにこ、にこにこと笑顔を絶やしもしないネル。
「お前、様子が変だぞ……」
「……失礼ね」
「どうかなされただろうか?」
アルシェが何か問題でも? と言った表情を向けてくるものの……俺は……ネルの様子に薄気味悪いものを感じつつも……それを どう問い詰めたものかと頭を悩ませていた。
「アタシは今、すっごくご機嫌なのよ♬ 別にイイでしょ? そんな時があっても」
――違和感が、確信に変わった。
思考を覗いて、正確に俺の意図を汲むことが可能なコイツが――うやむやと、お茶を濁すとくれば、絶対にロクでも無いことを隠しているに違いない!。
「……で? どーするの? アンタ? それを……今ここで、水を差すみたいに追及するの?」
笑顔を絶やさずネルが、俺に問う。見回せば……何事かと戸惑うように、こちらの様子を伺う、お客様一行。
「……その……つもりは……無い……けど……も」




