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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
三章:うろくづの森

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オーク問答

 それをチョイスした理由は、その頻度とトラブルに見舞われた際の危険度などを想定した上でのものだったが……判断は誤っていなかったらしい。


「……人間」


「は、はいっ?!」


「……? 言葉が分かるのか?」


「しょ……しょ、少々」

 

 全く生きた心地はしなかった。オークは、話し続ける。


「貴様が手にする『よし』は……『もののぐ』か?」


「よ? よし??」


(よし……よし……よし、えぇ~っと……お、斧のことか? もののぐ? もののぐってのは、なんだ?)


「……貴様が求めるものは、杣木(そまぎ)か? 闘諍(とうじゃう)か?」

 

 オークの考えが、なんとなくそこで理解できた……気がした。敵意の有無を尋ねているに違いない。


「えぇ~っと、立ち枯れの木でもあれば、薪にしようかと思って……森の中を歩き回ってたんだけど……見つからないので、そろそろ……もう帰ろうかなぁ……と」


 たどたどしい俺のオーク語は──緊張感から、


 さらに聞き取り辛いものになっていたのは、間違いない。


 しかし、オークはそんなことには、まるで興味も、不快感も示さずに


「……薪か。ついてこい。案内してやろう」

 

 何故だか、少しがっかりした表情を見せた後で。


 先ほど足元に放った、まだ血が滴り落ちる、狩りの獲物らしい大きな猪を担ぎ上げ、何本かの投げ槍を束ねて手に持ち始めた。


 オークは、親切にも森を案内してやろうと云わんばかりの御様子。

 

 ついて行って、いいものかどうか──俺は、本気で悩んだ。


「どうした? 早くしろ。森の日は、沈むのが早い」


 オークが急かす。


 そして結局断ることもできず、案内されるがまま、森の中をついて行くことに──


 目の前では、仕留められた猪が、血走った目を恨みがましそうに見開く。


 半開きになったままの口からは、血の混じった泡にまみれた舌が「だらん」と、だらしなく垂れ下がり、オークが歩くたびに、ぶらぶらと揺れる。


 漂う獣の臭いを嗅ぎつけたのか、血の匂いを嗅ぎつけて飛んで来たのかは……分からなかったが──猪には、肉蠅が何匹か止まり始めていた。 

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