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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
十二章:馬上槍の七人

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サッカーみたいなもの……なのかなぁ

 恐らくは悪魔を意匠したものと思われる黒い、グロテスク・アーマーと呼ばれる類の甲冑を身に纏う彼女は――俺の視線に気づいたのか、面頬を跳ね上げ、少し不機嫌そうな口調で


「……なにか?」ぶっきらぼうな口調。


 アルビノを思わせる白い肌に白い髪。淡い水色の瞳、その目を縁取る花瞼(かけん)――整った、その顔に気圧され、誤魔化すようにして、デズデモーナに首を巡らす。


「そういえば、槍試合って……どんな代物なんだ?」


 後続から馬を腹を蹴って、前に進み出て来て――面頬を跳ね上げて、彼女は楽し気に簡潔に説明してくれた。


「集団戦!」


「……しゅ、集団戦?」


「えぇ♪ 集団戦よ。7対7で騎士同士が、ぶつかり合う槍試合の花形競技!」


 俺が映画で観た内容とは、だいぶ違っていた……。ちょっと想像がつかない。


 表情からそれを察して見せたのか、デズデモーナは道行きの退屈しのぎがてら、さらに詳しく説明を行ってくれた。


「中央の線を挟んで、お互いに横隊に並んで、合図と共に一斉に同時に突撃するのよ。ひとりの騎士が、ひとりの騎士を相手にぶつかるの。誰が誰に当たるか、いなして躱すか。へばっている馬は、どの子か。結構、色々と頭を使う必要があるのよ♬」


「……なるほど」


「それで落馬したり、戦闘不能になった相手を捕虜として捕らえて、身代金交渉を行うの。あたしが、もっとも輝く場面でもあるわ!」


 両手をわきわき、わきわき♪ させて――彼女の眼差しは燃えに燃え上がっていた。


(誰かに……似てる気がする)。


 しかし、身代金交渉が存在する競技があろうとは……現代であれば、まず考えられない……。


 細々(こまごま)と、彼女の口から槍試合のルールについて教えて貰っている間に――屋敷が存在する領域の際に辿り着いた。


「……そうだった」


 俺は大事なことを皆に伝え忘れていたことを、この段になって思い出す。

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