略奪者は、小悪魔系
彼女の様子に、心配そうな声をかけるデズデモーナ。
「……あの? 貴女、大丈夫? 厠なら、付き添うわよ?」
俺と彼女の両方をせわしなく窺い――オロオロした様子で、デズデモーナは優しい気づかい。
「そ、それで? 君と、お仲間も……槍試合に参加するってお話だけど、もし宜しければぁ〜、君たちの大会に参加するにあたっての……心意気というか、信条的な? ものを……お聞かせ頂けたりはしない……かな?」
「えっ……?」メルトゥイユの様子を心配そうに見ていた彼女は――少し、上の空だったのだろう。こちらの話に、ちょっとだけ……戸惑った、そぶりを見せてから……。
少し考え――「……そうね。騎士とは名ばかりの略奪者を、片っ端から槍で突き落として……馬も、甲冑も、武具も巻き上げて、その上で身代金をふんだくるつもりよ♪ 実は、あたしのお家は財政が、ぴーぴーなの♬」
「……………………」
屈託のない笑顔を垣間見せ、すぐにメルトゥイユの世話を焼き始めるデズデモーナ。彼女の言い分も……正直、どっちもどっちではあったが……。幾分、彼女たちの方が、まともに思えた俺は――影ながら、協力を申し出ることにした。
* * *
彼女の話によれば、騎士たちが略奪を始めるのは一月ほどが経過して、気候も落ち着き刈り入れが、あらかた終わった頃だろうとのこと。
槍試合が開催されるまでの期間は、教会側から監視役の人間が近隣の村々に派遣されることもあって、騎士たちも悪名を流されては堪らんと言うことなのか。
問題は、試合が終わった後――村々から教会の人間が引き上げた頃なのだと、デズデモーナは教えてくれた。
試合に良い成績を残した者は立てた武勲と腕っ節に物を言わせ、徴発と言う名の略奪を行い――試合に敗れた騎士は勝者に巻き上げられた武具や、身代金の穴埋めにと、略奪に走るのだとか。この未開っぷりよ!。




