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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
十二章:馬上槍の七人

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過呼吸ぎみな聖女様

 彼女の話を聞けば聞くほど、先ほど教会で槍試合に関与はしないと告げたばかりだというのに――彼女と、その仲間たちに協力をせざるを得ないように感じていた。


 別に彼女の話の中に、人情に訴えかけてくるような……俺の心を絆す、美談が散りばめられていたとかそういう訳では無い。


 理由は今回の槍試合が、プレァリアの近郊で開催されることになった経緯。


 今回、この槍試合の開催が決まった理由――それは先日。ネルが教会から献上された金に気を良くして、法皇と約束した「お腹一杯宣言」により、この地の収穫量が跳ね上がり、騎士たちからすれば略奪し甲斐のある土地としてみられたことが……ひとつ。


 ――もうひとつは、


「邪悪な竜を退治した修道女、メルトゥイユ」


 デズデモーナが、そこまで口にした瞬間――


「ひっ?!」


 ……当のご本人様が短く声をあげて、首をすくめていた。


 その様子に不思議そうな表情を浮かべてから、目の前の彼女は話し続ける。


「槍試合は〝敵対心からではなく、実技の練習と勇敢さの披露のために行われる軍事演習〟と言う建前を取ってはいるんだけれど……どうも、世の大半の騎士たちはコレ幸いに……とばかりに略奪に走る方が多いのね?」


 彼女は手にした杯を両手で握り締め――


「で、この辺りの最有力の宗派。聖鈴教会の法皇様も、そんな実情を御存知らしくて、ことあるごとに……この槍試合の中止を幾度も幾度も訴えかけておられたのだけれど……」

 

 そこまで話すと溜息ひとつ。そして杯に口をつけ、ひとくち。舌を湿らせて


「今回……運営側が『邪悪な竜との戦いに身を捧げて散った聖女メルトゥイユに、我らは槍を捧げる!』とか言っちゃって? ……何故か教会側も何も言わずに、今度の大会の開催を素直に認めちゃったのね……」


 身を震えさせ、俯いて過呼吸気味の荒い息をつく聖女様。


 ……下から彼女の顔を覗いてみれば――きっと凄い表情になっているのは間違いない。

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