ズンズンチャ、ズンズンチャ
そちらの様子を眺め、御機嫌のネル。罪悪感が半端無い。辛い……。
「懺悔? 懺悔なさいますか? ツモイさん? 懺悔?」
メルトゥイユからの営業トーク。良いかも知れない……後で、一丁……頼もうか……。
「あ、そうだ」
ウルリーカが、口の中にパンパンに詰め込んだ料理を飲み下すや、思い出したかの様に、クィンヒルデとスキュデリに口を開いた。
「村で聞いて来たんだけどよ? なんだかプレァリア周りに、人間の騎士どもが集まってるらしいぜ? 槍試合の大会が行われるのかも知れないんだとよ。しばらくの間、森から出るなってさ」
「……槍試合……槍試合の大会 ……ぐふっ、なにやら……淫猥な響きに聞こえますまいか……」
俯いて眼鏡を直しながら、どうしようもないことを口にするアスタ(拾ってやるつもりは、ないぞぉ〜?)
暫く、その言葉の意味を考えて――理解できたのか、ゲルダがおでこまで真っ赤に染める。
(こう言うのを、なんと言ったか……)
「……不愉快だわ」
さきほどまでの上機嫌は、どこに行ったのか。
不機嫌の色を滲ませ、ネルはアルパゴンからの賄賂――水が添加されることで、白く濁ったアブサンのグラスを飲み干す。
「ぶふうぅ~っつ!」
グラスを空けるなり、漏らされる美人台無しの声。89度もあるリキュールを、申し訳程度に水で割って、飲んでいる訳だから仕方も無い。
「も、ぃっぱあい!」
背の低いポンタルリエ・グラスに、木の葉を模して葉脈部分にスリットが開けられたスプーンを渡し、角砂糖をその上に乗せ――黄緑色の透明なリキュールを注いで、次の一杯の準備を始める悪魔。
「なんだ? その槍試合って。詳しくは知らんが……ドン・キホーテが、持ってるみたいな槍で、ぶつかり合う……アレのことか? 映画で観ただけで詳しか無いが……」
「槍で……ぶつかり……合う!」(お前の心の闇が、垣間見えるようだな……アスタ)
「……そう。それよ」
不機嫌そうに、ウォーター・ドリップの蛇口から――点々とグラスのスプーンに落ちる水を眺めて忌々し気に。
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